デザイナー INTERVIEW vol. 07

「挑戦すること、探求することを忘れないデザイナーであることが目標です」
デザイナー 濱田彩香

G.C.PRESSのプロダクト制作の要、インハウスのデザイナーへインタビュー。第7回の今回は、デザイナー・濱田彩香さんに、自身が手がけた代表的なプロダクトができるまでについて伺いました。

先輩の商品から学んだ、“便箋のデザインに必要なこと”

今年(2017年)に入社6年目を迎えた、濱田さん。「まだまだ、本当に勉強中です」と、とても謙虚に語る彼女に、思い出深い商品を3点紹介してもらいました。

「『the song of autumn(ザ ソング オブ オータム)』と『My blissful noon(マイ ブリスフル ヌーン)』、『English garden in the morning sun(イングリッシュ ガーデン イン ザ モーニング サン)』の3点です。中でも、入社2年目頃に作った『ザ ソング オブ オータム』が、デザイナーとして歩みだした原点のような商品だと思っています」

入社1年目に手がけたいくつかの商品は、「制作するだけで精一杯で、全然売れなかったのですが、何がダメなのかわからない状態でした」と話します。それではダメだと思いながら挑んだ「ザ ソング オブ オータム」は、“便箋としてのデザイン”を試行錯誤しながらやっと完成させた、思い出のプロダクトなのだそうです。

「便箋のデザインがなんたるかもわからなかったので、会議の時に周囲の方からアドバイスいただき、シニアデザイナーの真柄さんに経過を見ていただきながら、時間をたっぷりかけて制作しました。原画も2~3回描き直して、完成させるまでに苦労した商品です。店頭に並んだときは…、単純にうれしかったですね!」

しかし、うれしい気持ちの反面、落ち着いて改めて自分の作品を店頭で見た時、ある“気づき”があったといいます。

「自分の商品と先輩方のものを比較して、初めて、便箋のデザインに必要なものを学んだ気がしました。大きなキャンバスに描く絵と、商品に落とし込む絵の性格が違うというか…。口で説明するのがとても難しいのですが、わたしの心の中では“すとん”と落ちたんです。それで、今までの描法では商品デザインには向かないと感じ、方向転換を決めました」

▲濱田さんの代名詞「マイ ブリスフル」シリーズの前身ともいえる、「ザ ソング オブ オータム」

転機となった「マイ ブリスフル ヌーン」

デザイナーとして足りない部分を見つめ直しながら、次の制作に進んだ濱田さん。その時携わったのが、「マイ ブリスフル ヌーン」でした。

「大学時代の油絵科では、ひとつの絵画にとことん向き合うことが主でした。でもそれだと、便箋のデザインには合わないんです。方向転換しようと決めた時、ヒントになったのが“テキスタイル”でした。テキスタイルの柄を描くイメージで、便箋のデザイン画を描こうと思ったんです」

こうして生み出された「マイ ブリスフル ヌーン」は、後に、春夏秋冬のシリーズが発売され、多くのファンを獲得しました。

「周囲からの後押しもあって、全ての季節で商品をリリースできました。『マイブリスフル』シリーズでは、『モチーフをたくさん入れたい』というイメージがありましたが、筆のタッチを残しすぎると重なる部分がキレイに見えず、細かいディテールが雑な印象を与えてしまうという懸念があったので、描き方をかなり模索しました」

▲女性たちの胸を熱くするような、世界観がぎゅっと詰め込まれている

画法について思案を重ね、行き着いた商品が「イングリッシュガーデン イン ザ モーニング サン」。細かいディテールが美しく映え、高貴ささえ感じます。

「『マイ ブリスフル ヌーン』では、筆を置いた時に広がる絵の具をそのまま残すようにしていました。『イングリッシュガーデン イン ザ モーニング サン』は、鉛筆のラインまで色を入れています。そうすると、細かいディテールの重なりもキレイに見えるんです。筆づかいや鉛筆の線をどれだけ残すか、画材の配合方法などは作品により変えています。このチャレンジが、わたしの一番のこだわりかもしれません」

▲英国の庭のすがすがしい朝をイメージした、優雅な表紙に目を奪われる

商品を通して、お客様の生活に寄り添えることがうれしい

デザインすることと真剣に向き合い、自分の世界観を確立しつつある濱田さんに、仕事のやりがいについて聞きました。

「商品が売れると、やっぱりうれしい!いくら努力しても売れない商品ももちろんありますが、売れた時は『この線で(デザインを)やってもいいんだ』と、報われた感じがします」

最後に、デザイナーとして大事にしている信念を伺いました。

「時おり、お客様が便箋を購入される際のエピソードを伺う機会があります。その度に、商品を通してわたしもお客様の生活に寄り添えているのかな?と思えることが喜びになっています。その気持ちを忘れずに、胸を張れる物づくりをしていきたと思っています」

「でも正直に言うと、1つの商品をリリースすると『一段落したい』という気持ちもあります。そんな時は、先輩方の作品を見て『上には上がいる。もっと頑張らないと!』と奮起しています。常に挑戦すること、探求することを忘れないデザイナーであることが目標です」

▲「子ども頃からシール集めが好きだったので、次はシールに挑戦してみたい」と今後を語る、濱田さん

シャイな印象の濱田さんですが、自身の作品については情熱的に話してくれたのがとても印象的でした。多くの女性の心をわしづかみにする、独特の色彩とモチーフ…。次はどんな“濱田ワールド”を魅せてくれるのか期待が高まります。

デザイナー 濱田彩香(はまだあやか)
武蔵野美術大学院油絵コース卒。G.C.PRESSに入社。現在、入社6年目。代表プロダクトは「マイ ブリスフル」シリーズ。

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